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平成28年2月経済産業省から「コト消費空間づくり研究会―とりまとめについて」の記事をWeb上で見つけた。コト消費という言葉は耳慣れないが、「コト」の言葉に反応して読んでみた。
「コト消費」とは、魅力的なサービスや空間設計などによりデザインされた「時間」を顧客が消費することと紹介している。
街歩きや外湯めぐりなどのことである。
経済産業省から報告書が出ているので、以下に示す。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/chiiki/koto_shouhi/pdf/report_01_02.pdf
製造業・農業などモノを作って域内外で売る仕事だけでなく、サービス産業一般の顧客が「時間」を消費できるコトを作る仕事を創出することが地域経済活性化のためには重要であると言っている。
「コト消費」の対極に「モノ消費」をおいている。
「モノ消費」とは、個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費することと説明しているがわかりにくい。
私は、従来から感動の商品づくりには、「モノ発想」から「コト発想」へ視点を移すことが重要であると述べてきた。
形あるものにはモノの側面とものの使い方や使う人の好みにあったコトの側面が共存している。
コトの側面を見つけ形あるものを実現すれば顧客の使い方に合った商品や顧客が好む商品を作り出すことができるはずである。
この発想法を「コト発想」と定義した。
こうした「コト発想」はモノづくりの分野だけなく、販売営業分野や経営分野にも応用できるものとして紹介してきた。
今回紹介された「コト消費」も従来の消費領域を顧客が望む楽しみ方や顧客の好みに合わせて空間や時間を提供していくことであれば、モノづくりの「コト発想」と大変良く合う考え方のように思う。
最近、「コト」という表現を多くのメディアで紹介されているのが目に付く。うれしいことだ。
コトは「物事」の言葉で示される「物」と「事」の「事」を意味するものである。
すなわち日本語の物事には形あるものが本来モノとコトの両面を持っていることを示している。
サービスの分野で「コト」の側面を充実させ、顧客にそんなサービスを待っていたと思わせるような解を提供してほしいと願う。
サービスの分野では、日本の「おもてなし」は、「コト」の神髄であると私は思っているが、いかがだろうか。